2019/09/23
給与と外注費の区分 5つのポイント
こちらは世田谷区尾山台の税理士事務所 女性税理士 松原です。
今日は、給与と外注費の区分の考え方について説明します。
最近は、柔軟な働き方としてフリーランスの増加など、就労の形態が多様化しています。
業務委託契約や請負契約による「個人型請負就労者」など、自営であるものの実態は雇用労働に近い場合も多いと言えます。
人件費を支払う側からみると、支払った金額が給与になるか外注費になるかにより、源泉税と消費税の金額が大きく変わってくるため、
その判断は大変重要です。
実務上、検討の基準とする5つのポイントを整理しておきます。
ポイント1 代替性の有無
その人の業務を他人が代替して遂行することが認められるかどうか
雇用契約による給与の場合は、雇用された者自身が仕事をすることにより対価としての給与を受け取りますが、請負契約の場合は、
実際の仕事を、仕事を請け負った者自身に限らず第3者に任せることが出来ます。
そこで代替性がある場合は外注費、代替性がない場合は給与の度合いが強くなります。
ポイント2 拘束性の有無
報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなどの
時間的拘束を受けるかどうか
勤務日や就業時間が決められれていたり、出勤簿、タイムカードがある場合には、給与としての性格が強まります。
ポイント3 指揮監督の有無
業務の具体的な内容や方法について、報酬の支払い社から指揮監督を受けるかどうか
雇用契約の場合には、就業規則に従う必要があり、また作業について指揮監督を受けるのが一般的です。
一方、請負契約では仕事の納期・期限を守れば仕事の進め方や手順について自分で決めることが出来、依頼主から指示を受けることはないのが通常です。
仕様書や、指示書により作業の具体的内容や方法が使用者の指揮命令を受けて行われている場合には、給与の該当性が高くなります。
ポイント4 報酬請求権の有無
不可抗力のため業務が完了しない場合でも、すでに完了した分の業務を請求できるかどうか
請負契約の場合には、引き渡し前の完成品が災害などの理由で納品できない際に、一般的には代金の請求することはできません。
一方、雇用契約では労務の提供を行えば結果に関係なく報酬の対価を請求できるため、そのようなケースでは給与の性格が強いと言えます。
ポイント5 材料や用具の供与の有無
業務に必要な材料、用具などが報酬の支払者から支給されているかどうか
雇用契約の場合には雇用主が業務に必要な材料や用具を支給しますが、請負契約の場合には自分で用意するのが一般的です。
以上実務上の5ポイントに加え、国税庁が税務大学校の研究結果として、この判定の具体的な考え方を公表しています。
題名は、「源泉所得税における給与等の課税の取扱い」です。
とても細かい研究結果で例示もふんだんにありますので、もしも判断に迷ったときには一読の価値があります。
ただ、この資料もあくまで参考なので、単純に判定することなく総合的に見て判断することが重要です。
国税庁 「源泉所得税における給与等の課税の取扱い」
は、こちら をご覧下さい。