2017/08/07
Q 社内に展示する絵画の購入費は経費となりますか?
こちらは世田谷区尾山台の税理士事務所 女性税理士 松原です。
今日は、絵画の購入費用の扱いについて、Q&A形式でご紹介します。
A 回答
はい。経費となります。
平成27年度の改正により、減価償却資産の範囲が拡大されました。
具体的には……
減価償却資産に該当するかどうかの判定基準である取得価額が、1点20万円未満から100万円未満に大幅に引上げられました。併せて、絵画の号当たりの金額基準は廃止されました。
従来の減価償却通達(法人税基本通達7-1-1)では、美術品(通達では「書画骨とう」という用語を使っていました)は時の経過により価値が減少しない(むしろ作家の死後価値が上がる)という認識が根底にあり、美術品の減価償却は原則認められていませんでした。美術年鑑に掲載されている作家の作品は美術品であるため価値が減少しないので減価償却が出来ず、美術品かどうか明らかでないものに限り、1点20万円(絵画では号2万円)未満のものについてのみ減価償却が認められていました。
しかし、美術年鑑への掲載は広告目的として作者自身の登録料の支払いにより行われる、また著名な作者の作品が美術年鑑に載っている訳ではない、という実情があり、実際と大きく乖離していたこの通達が、実際に合わせるために改正されることとなったのです。
さて、絵画などの美術品の購入費については、
30万円未満の場合 購入年に全額を経費とできる
30万円以上100万円未満の場合 減価償却資産として、耐用年数で経費とする
と処理することとなります。
<蛇足>美術年鑑に載っている1号当たりの価格は、言わば作家の「希望小売価格」です。
購入した絵画を将来売却しようとした場合、ジュエリー同様、ほとんど値がつかないこととなってしまうので、よほど著名な作家の作品でない限り投資目的での絵画の購入はしないほうが得策です。
購入の際は、
1、自身の感性に合うものを、
2、払ってもいいと思える金額で買う
ことに気を付けて、思う存分絵画選びを楽しんでください。