2021/12/15
電子帳簿保存法改正 電子取引の電子データ保存が義務化されます!
令和3年度税制改正で、電子帳簿保存法が大きく変わりました。
この制度は大きく分けて、
①電子帳簿保存制度
②スキャナ保存制度
③電子取引制度 の3つに分けられます。
そのうち、法人・個人事業者を含め、ほぼ全ての事業者に大きな影響を与える、
③「電子取引制度」についての改正ポイントをお伝えします。
1,概要
電子取引の電子データ保存が義務化されます。
今までは、例えばメールで受領したPDFファイルの請求書や領収書などを紙に印刷して保存する方法は認められていましたが、
改正後は紙での出力保存が認められなくなり、電子データでの保存が義務化されます。
2,対象となる事業者
・所得税と法人税について帳簿の保存義務者、つまりほぼ全ての個人事業主と法人
・書類の交付者と受領者、両方とも
3,施行開始日
令和4年(2022年)1月1日
ただし2年間の宥恕規定により、実質的には令和6年(2024年)1月1日より運用開始
4,対象となる電子取引とは
取引について自ら発行する又は他者から受領する、
請求書・注文書・契約書・送り状・領収証・見積書、などの取引情報を電磁的方法で行う取引のことをいいます。
<電子取引の具体例>
・メール本文やPDF添付ファイルにより請求書を交付した、受領した
・Amazonのクレジットカード決済で商品を購入した
・インターネット上のサイトから商品をPayPal経由で購入した
・インターネット上のQRコードを読み取ってPayPayで支払った
・クラウド経由で電子領収書・請求書を受け取った
・クレジットカードの利用明細、水道光熱費・電話代などの利用明細は紙で送られず、サイトでしか確認できない
*紙の領収書が発行される場合は電子取引に該当しない
<例>
・実店舗でクレジットカードやSuica、PayPayなどを使って決済する場合
・クレジットカード利用明細、水道光熱費・電話代の利用明細は紙で郵送される
5,電子データ保存の主な要件
①・タイムスタンプを付与する
又は
・「訂正削除の防止に関する事務処理規定」を備え付ける ←こちらの方が簡便
②検索要件に合致した保存をする
「取引年月日、取引金額、取引先」の3項目を条件に検索可能となるようにする
電子データなど任意のフォルダを作り、各電子データのファイル名に3項目を明記し保存しておけば良い。
(ファイル名の例:20220321㈱A商事¥110,000)
*ただし前々年の売上高が1,000万円以下の小規模事業者については、税務署調査の際に
電子取引記録のダウンロードに応じることを条件に、検索要件すべてが不要。
6,保存期間
7年間(欠損金の繰越控除がある場合には、10年間)
パソコン内データのバックアップに十分気を付けてください。
7,電子データで保存せず、紙のまま保存していた場合
もし印刷した書面で電子取引の内容が確認でき、かつその取引が正しく記帳され申告にも反映されている場合には、
この電子データ保存の義務化にかかわらず、青色申告の承認が取り消されたり、支出した費用の経費性を否認されたりすることにはなりません。